無視された新景観条例

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 京都会館の再整備に関してはこれまで長い時間をかけて検討がされてきました。京都会館に関してはバリアフリー機能の強化やトイレなどの部分的な補修でまだまだ利用可能な筈が、2011年に入って「ロームの命名権取得」が報道されると突如第一ホールを高さ約31メートルのオペラも可能な建物へと「建て替える」計画へと変更されました。

 京都市は2012年2月20日、京都会館の再整備に向けて左京区の岡崎地域に立地する施設の高さ規制を緩和する地区計画を承認しました。2007年に制定された新景観条例において15メートルの高さ規制を設けたばかりにも関わらず、京都会館第1ホールの建て替えが高さ31メートルまで可能なように規制を緩和しました。採決にいたっては住民市民からの多くの反対意見とあわせて、都市計画審議会では委員からも「新たな開発の道を開くのでは」「住民理解が得られておらず拙速だ」との反対意見が出ましたが、四条通りの2車線化とあわせ多数決で可決されてしまいました。
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美術館や近代美術館も再整備か

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 今回の規制緩和により京都国立近代美術館、京都市美術館は次回建て替えや増改築を行う場合に25メートルの高さまで建設可能になりました。あわせて、平安神宮とその東側の住宅地域の用途地区を変更し、ホテルやパチンコ、遊技場、いままでより大きな商業施設、カラオケ等が建設可能になりました。このことに関しても住人に対して納得の行く十分な説明がなされたとは到底言えず、パチンコ等に関しては個別に規制を設けると言いながらも、何故わざわざ住民の居る静かな住環境の用途地区を変更する必要があるのかについては明確な回答がなされませんでした。 .

新景観条例とは?

 バブル期に乱立した高層ビルやマンションにより京都らしい街並みが破壊されたことなどを受け2007年に制定された条例。制定以降、建物の高さや外観等に対する厳しい規制が設けられた一方で、高さが既存不適格となってしまったマンションの建て替え問題等、行政や市民の間で長い時間をかけて議論や改善が施されてきた。今回の京都市による一方的な規制緩和は今までの前向きな議論を無き物にし、なし崩し的に有名無実の条例にしてしまう可能性があります。.

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